サヴォワールフェール

2021春夏 プレタポルテ コレクション ショーは、女性の力強い声の多面性と個性を通して文化の多元的な豊かさを証言する、斬新な体験を提供します。

その前提としてマリア・グラツィア・キウリは、2つの貴重な技法を組み合わせてコレクションの中心に据えることから始めました。その技法とは、インドネシアのバリ島で生まれたイカット エンデック、そしてヨーロッパで16世紀に発達したシネ。たて糸を染めてから織り上げる2つの技法は、ギリシア神話の「アリアドネの糸」のように、個性的なシルエットを導く道しるべの役割を果たしています。アジアで生み出された、古来より続くアイコニックなファブリック。この素材によって同じ起源を持つデザインに命が吹き込まれ、バリエーション豊かな、新たな解釈となって生まれ変わりました。

そのグラフィックから、アーティスティック ディレクターお気に入りの素材の1つとなった、クチュールの精神を体現するシネは、1959年のデザインのフレアコートにも使用されました。クリスチャン・ディオールの後継者、イヴ・サンローランがメゾンのためにデザインした『トラペーズ』ラインを想起させます。現代では、その繊細なシルクの糸をリバーシブルのコートとジャケットに散りばめ、アイコニックな「トワル ドゥ ジュイ」やペイズリー柄といった、メゾンのシンボルの再解釈に用いました。これらのアイテムの裏側にはまるで運命的な出会いのように、伝統的な手織りのイカット エンデックをあしらいました。ワストラまたはカイン エンデックとして知られる、バリの織り手によるこのファブリックには、すばらしく貴重なサヴォワールフェールが反映されています。このきわめて洗練された比類なきクラフトマンシップはそれ自体が言葉となり、フェミニニティを主張・表現し、ディオール ウィメンズコレクションのアーティスティック ディレクターが掲げる明確な哲学も相まって、これまで以上の共鳴を呼び起こすことでしょう。ディオールとインドネシアの女性職人が歩み寄って興味深い対話を交わすことで、卓越性が讃えられ、唯一無二のこのヘリテージが世界中に広まってゆくのです。

長い年月をかけて魅力的に変化した貴重なヘリテージを受け継ぎ、あらゆる出会いとライフスタイルの変化を経験したこのコレクション。サヴォワールフェールの見事な多様性と、織りの作業を担う腕利きのお針子たちの技術の双方にオマージュを捧げています。世界の文化に光を当て、言葉や映像やプリントを並列に扱って組み合わせたい。テキストに始まりテキスタイルに終わる、そんなクリエイティブで魅力的な冒険をマリア・グラツィア・キウリは望んでいます。その願いが反映された、インスピレーションに溢れた出会いがこのコレクションなのです。

世界でも類を見ないこのヘリテージを保護するため、そしてインドネシア政府の指導と歩みを合わせるため、ディオールは地元の専門家や職人と手に手を取って働くことを誓いました。この文化的な遺産を守り、貴重な技法を残すための取り組みです。