2026年春夏コレクションショー
大胆にもディオールのようなメゾンの一員になろうとするならば、その歴史に共感し、その言語を読み解こうとする意志が必要です。ディオールの言語は集合的なイマジネーションの一部であり、そのすべてを一つの箱に収めようという確固たる姿勢が求められます。それを消し去ることなく保存し、将来を見据え、さまざまな時代の断片や痕跡、あるいはシルエット全体を振り返ることは、記憶を紐解くようなものです。そして、感情が目まぐるしく移り変わる、複雑で直観的な作業です。
これまでずっと、どんな時でも、メゾンは美しさへの賛美を具現化し続けてきました。親しみと驚きを同時に感じさせるディオールの言語。それは説明を求めない招待状であり、大きな夢へといざないます。人生という舞台を受け入れ、ファッションの力を享受し、日常生活を壮大なファンタジーの世界に接続し直す。人々の感情は揺さぶられ、目撃した人の数と同じ分の言葉が形作られます。
現代のビジョンの背景にある感情は、調和と緊張です。メゾンの長い歴史から選び出されたいくつものシンボルが結実して生まれた一枚のデッサンは、シルエットに一本の線でメッセージを伝えることを可能にします。過去のアイディアと現在、大胆さと穏やかさ、壮大さと平凡とが対話を紡ぎ、すべてがディオールというフィルターを通して表現されます。それは柔らかく絵画的で、考え抜かれ、突然の爆発を伴う、色彩豊かな感性であると同時に、もの作りの方法論としても、一見シンプルなようでいて非常に優れているのです。
歴史を一つの箱に収めると、内部崩壊が起こります。複数の帽子を一つの箱に収めると崩れてしまうようなものです。物事の順番は並び替えられ、分裂によって生まれたディオール ウーマンのための空間では、壮大さ、迅速さ、張り詰めた日常性、多動性が深く追求されます。すなわち、縦の流れの探求や、立体的な拡張作業が行われるのです。
人生という舞台の登場人物になるために服をまとうことは、衣服の佇まいや外観を再設計すること。歴史を箱に収めたり開封したりすることは、現代の精神的な圧力や感情的な刺激への反応を共感的な方法で示すことにもなります。
万物は流転するのです。
ルック
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ショーのセット
ディオールの春夏コレクションショーの舞台は、ルカ・グァダニーノとステファノ・バイシが演出を担当。ドキュメンタリー映画監督のアダム・カーティスとのコラボレーションにより、デジタルとリアルを融合させたパワフルなステージをつくり上げました。
まるで過去に閉じ込めた記憶を手繰り寄せるかように、メゾンの歴史が観客の目の前に次々と現れ、ディオールのシューズボックスの中に魔法のように収まっていきました。
サヴォワールフェール









「ディオールのようなメゾンでデザインを手がけていくには、その歴史に共感し、共に歩んでいかねばなりません」
- ジョナサン・アンダーソン
ショーの舞台裏











